「根管治療では、歯の中をどのようにきれいにしているの?」
「細い器具で掃除するだけではないの?」
根管治療は、歯の内部にある「根管」から、感染した組織や細菌をできるだけ取り除き、歯を残すことを目指す治療です。
根管は細く、曲がったり枝分かれしたりしているため、器具だけですべての部分を清掃することは困難です。
そこで重要になるのが、薬剤を使った「根管洗浄」です。
今回は、藤が丘スマイル歯科が取り組んでいる根管洗浄について、使用する薬剤や器具、その役割をご紹介します。
根管治療で「洗浄」が重要な理由
歯の内部には、神経や血管を含む「歯髄」が通っています。むし歯などによって歯髄に炎症や感染が起こると、根管治療が必要になることがあります。
治療では「ファイル」と呼ばれる細い器具を使い、根管内を清掃しながら形を整えます。
しかし、根管の形は一本ずつ異なり、器具が直接触れられないくぼみや、細かな枝分かれもあります。

器具による清掃と薬剤による洗浄を組み合わせることが、根管内の細菌や汚れを減らすために大切です。
当院では、薬剤の働きと洗浄器具の特徴を踏まえ、歯の状態に合わせて洗浄を行っています。
根管洗浄に使用する2つの薬剤
根管内には、神経などの組織の残りや細菌に加え、歯を削る際に生じる削りかすも存在します。
それぞれに対応するため、役割の異なる薬剤を使用します。
① 次亜塩素酸ナトリウム|細菌や組織の残りに働きかける
次亜塩素酸ナトリウムは、根管治療で広く使用されている洗浄剤です。
主に、次のような働きがあります。
- 根管内の細菌に対する抗菌作用
- 神経などの有機質の組織を溶かす作用
器具だけでは取り除きにくい組織の残りにも働きかけ、根管内の清掃・消毒を助けます。
一方で、歯の根の外へ漏れると周囲の組織を傷つけるおそれがあるため、薬剤の扱いや注入時の圧力などに配慮して使用することが重要です。
根管洗浄に使う次亜塩素酸ナトリウムについて、その働きや使用する理由、安全性への配慮を別の記事で詳しく解説しています。
▶ 根管治療で使う「次亜塩素酸ナトリウム」とは?働きと安全性について
② EDTA|根管の壁に付着した削りかすを除去する

根管を器具で清掃すると、根管の壁に「スメア層」と呼ばれる薄い層ができます。
これは、象牙質の削りかすや組織の残りなどが混ざったもので、細菌を含むこともあります。
EDTAは、このスメア層のうち、主に象牙質由来の無機質成分に作用する薬剤です。
次亜塩素酸ナトリウムとEDTAは、働きが異なります。
それぞれを適切な手順で使うことで、一つの薬剤だけでは対応しにくい汚れの除去を目指します。
洗浄液の働きを助ける「超音波・音波洗浄」
根管洗浄では、薬剤の種類だけでなく、根管内で洗浄液をどのように行き渡らせるかも大切です。
当院では、根管の形や治療の状況に応じて、超音波や音波を利用した器具を使用しています。
根管洗浄用超音波チップ

専用の細いチップを振動させ、根管内の洗浄液に流れを起こす器具です。
洗浄液を動かすことで、根管の壁に残った汚れや削りかすの除去を助けます。
洗浄を目的とした使用では、チップで根管の壁を削るのではなく、洗浄液を振動させ、その働きを助けることが中心になります。
エンドアクチベーター

エンドアクチベーターは、柔軟な樹脂製のチップを音波で振動させ、洗浄液をかき混ぜる器具です。
超音波チップとは振動の仕組みが異なりますが、根管内の洗浄液を動かし、汚れの除去を助けるという目的は共通しています。
柔軟なチップを使用するため、湾曲した根管にも対応しやすい特徴があります。ただし、すべての根管の奥まで入れられるわけではなく、根管の形に合わせて使用します。
精密な根管治療を支える設備と取り組み
根管洗浄を生かすためには、診査・診断、根管の形成、治療中の感染対策も重要です。
当院では、次のような設備や器具を活用しています。
マイクロスコープ・高倍率拡大鏡

マイクロスコープや高倍率拡大鏡は、治療する部分を拡大して確認するための機器です。
照明で視野を明るくしながら、根管の入り口や、目で確認できる範囲の細かな構造を観察し、治療を進めます。
ただし、曲がった根管の先や細かな枝分かれまで、すべてを直接見られるわけではありません。
そのため、拡大視野での確認に加えて、器具による清掃と薬剤による洗浄を組み合わせています。
歯科用CT

歯科用CTは、歯や周囲の骨の状態を立体的に確認できる検査です。
通常のレントゲンだけでは判断が難しい場合に、根管の本数や曲がり方、歯の根の周囲にある病変などを調べる助けになります。
一方で、CTでも細かな枝分かれやひびをすべて確認できるわけではありません。
すべての根管治療で撮影するのではなく、診察や通常のレントゲンの結果を踏まえ、必要性を判断します。
ニッケルチタン(NiTi)ファイル

ニッケルチタンファイルは、柔軟性を持つ合金で作られた根管治療用の器具です。
湾曲した根管の形に追従しやすく、根管内を清掃し、洗浄液が届くための形を整える際に使用します。
ステンレス製のファイルにも役割があり、当院では根管の状態や治療の段階に合わせて使い分けています。
ラバーダム防湿などによる感染対策

根管治療では、歯の内部を清掃することに加え、治療中に唾液や細菌が入り込むことを抑えることも重要です。
ラバーダムは、治療する歯の周囲に装着する薄いシートです。唾液による汚染を抑えるほか、洗浄薬剤がお口の中へ流れることや、細かな器具の誤飲を防ぐ役割があります。
当院では、ラバーダムを用いた防湿を含め、治療中の感染対策に取り組んでいます。具体的な処置内容や使用する器具については、治療計画に沿ってご説明します。
洗浄後も、細菌が入り込まないようにすることが大切です
根管治療は、洗浄が終われば完了というわけではありません。
根管内を清掃・消毒した後は、根管に材料を詰める「根管充填」を行い、歯の状態に合わせて詰め物や被せ物で修復します。
また、治療途中の仮の蓋にも、唾液や細菌の侵入を抑える大切な役割があります。
根管内をきれいにすることと、その後の再感染を防ぐこと。その両方が、歯を長く使うために重要です。
治療途中で通院を中断せず、仮の蓋が外れた場合は、早めにご連絡ください。
青葉区・藤が丘で根管治療をご検討の方へ
藤が丘スマイル歯科では、患者さまの大切な歯をできるだけ残すことを目指し、診査・診断から根管内の清掃・洗浄、その後の修復まで、一つひとつの工程を大切にしています。
根管治療の経過は、感染の状態や根管の形、歯のひびの有無などによって異なり、すべての歯を残せるとは限りません。
だからこそ、現在の状態と治療の選択肢を分かりやすくご説明し、患者さまと相談しながら治療を進めていきます。
「歯の根の治療について詳しく知りたい」
「以前治療した歯が、また痛む」
「できるだけ自分の歯を残したい」
そのようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
藤が丘スマイル歯科ご紹介
藤が丘スマイル歯科
横浜市青葉区藤が丘2丁目4-7 M’s building3階
田園都市線「藤が丘駅」から徒歩1分
当院では、患者様の大切な歯をできるだけ残すことを目指し、最新機器と丁寧なカウンセリングで安心して通える歯科医療を提供しています。
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✍執筆者情報
金子賢哉(かねこ けんや)歯科医師
藤が丘スマイル歯科 院長
日本歯周病学会 会員
日本接着歯学会 会員
日本小児口腔発達学会 会員
日本口育協会 口育士資格
日本歯科大学 卒業
※本記事は歯科医師である筆者の臨床経験および文献に基づき作成しています。