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セラミック治療を失敗しない選び方|ラバーダム・IDSの重要性

セラミック治療はラバーダムとIDSで長持ち!

歯科医が教える成功の秘訣!!

「セラミックならどこで治療しても同じ」と思っていませんか?

実はセラミック治療の寿命は、接着の方法によって大きく変わります。特に「ラバーダム」というゴムのシートを使った防湿と、「IDS(即時象牙質封鎖)」というステップを組み合わせることで、治療の成功率と長期安定性が格段に高まります。

適切に行うことで、接着強度は数十%向上することも報告されています。

 

この記事では、セラミック治療を検討している方に知っていただきたい「ラバーダム・IDS・エッチングの重要性」を、わかりやすくかつ専門的な視点から解説します。

 

1.セラミック治療が人気の理由

セラミック治療は、審美性と機能性を両立できる補綴治療として広く選ばれています。

  • 天然歯に近い透明感と美しさ
  • 金属アレルギーの心配が少ない
  • 汚れや歯垢がつきにくく、虫歯や歯周病のリスクを減らせる

しかし、セラミックそのものがどれだけ優れていても、接着が不十分だと数年で外れてしまうリスクがあります。

2.接着の成否が寿命を決める

セラミック自体は非常に強い素材ですが、歯にしっかりと接着されなければ意味がありません。

接着が弱いと…

  • すき間から虫歯が再発する
  • 数年で外れてしまう
  • セメントの劣化による変色

つまり、セラミック治療の成功は「接着の質」にかかっているのです。

 

日本補綴歯科学会の接着ブリッジガイドラインでも「補綴装置の成功は接着操作の適切さに大きく依存する」と記載されており、これはセラミック治療にもそのまま当てはまります 。

3.ラバーダムとは?

ラバーダムとは、治療する歯だけをゴムのシートで隔離する器具です。

  • 唾液や湿気を完全に遮断
  • 治療部位を清潔に保つ
  • 接着操作に理想的な環境を確保

海外では根管治療や接着修復で標準的に用いられており、日本でも専門性の高い歯科医院で導入されています。

4.ラバーダムを使うメリット

①接着力が最大化される

湿気や唾液があると接着剤の性能が落ちますが、ラバーダムを使うと安定した接着が可能になります

②長期的に外れにくい

数年で外れるトラブルを防ぎ、治療のやり直しリスクを軽減

③虫歯再発を防げる

接着のすき間が少なく、虫歯のリスクを減らせます

④自然な美しさを維持

接着剤の劣化や変色を防ぎ、セラミックの透明感を長く保てます

5.IDS(Immediate Dentin Sealing:即時象牙質封鎖)とは?

ラバーダムと並んで重要なのが、IDSというステップです。

IDSの概要

  • セラミックの型取り前に、露出した象牙質をレジンでコーティングし封鎖する処置
  • 後日のセラミック接着時に、より強固で安定した接着が得られる

6.IDSのメリット

  • 接着強度の向上

象牙質は湿潤で接着が難しいが、事前に封鎖することで安定性が高まる

接着力は、IDSなしと比較すると…

約 5 倍!!

【出典:journal of dentistry 2005 511-519

Pascal Magne, DMD, PhD, Tae Hyung Kim, DDS,Domenico Cascione, CDT,and Terence E. Donovan,DDS

Division of Primary Oral Health Care, University of Southern California, School of Dentistry, Los Angeles, Calif】

  • 術後のしみ・痛みを軽減

象牙質が保護されることで知覚過敏が起きにくくい

  • 長期的な安定性

接着の劣化や脱離のリスクを減らす

歯科保存学会のガイドラインでも、象牙質の保護や接着の安定性を重視した治療が推奨されており 、IDSはその考え方に基づいた先進的なステップです。

つまり、条件によっては接着力がアップすると考えられ、予後に大きな差を生む手技といえます。

 

7.セラミック治療の流れ(一般的なステップ)

1.診査・診断

虫歯や歯周病の状態をチェックし、セラミック治療が適応かを判断します。

2.歯の形成(形を整え作業)

セラミックを装着するために歯を整えます。このとき象牙質が露出することもあります。

3.IDS(即時象牙質封鎖)

露出した象牙質をレジンでコーティングし、接着基盤を先に安定化させます。

4.型取り・仮歯の装着

セラミックを作るために精密な型を取ります。仮歯などを入れて見た目や噛み合わせを維持します。

5.セラミック完成・試適

完成したセラミックを歯に合わせ、色・形・噛み合わせをチェックします。

6.ラバーダム防湿

本接着の際にはラバーダムを装着し、唾液や湿気を遮断します。

7.前処理

歯やセラミック表面をセットする前に処理して接着強度を高めます。
👉 文献報告では、37%リン酸エッチングを行うことでエナメルへの接着強度が19〜74%向上するとのデータもあります(RDE誌, 2020)。

8.セメントで接着

防湿・IDS・前処理が整った環境で、専用のレジンを用いてセラミックを接着します。

9.最終確認・咬合調整

噛み合わせを調整し、仕上げを行います。

8.ラバーダム+IDS+エッチング=理想的な接着環境

  • ラバーダム

唾液や湿気を完全にブロック

  • IDS

象牙質を事前に封鎖し接着強度向上し、安定化

  •  エッチング

表面を活性化し接着強度を数十%引き上げる

 

この3つを組み合わせることで、セラミック治療は最も理想的な条件で接着され、長期的な安定と美しさを得られます。

9.注意点:ラバーダムが困難なケースもある

ただし、虫歯が大きすぎる場合や、歯肉に深く覆われた部位のクラウン装着などでは、ラバーダムの装着が技術的に難しいケースもあります。

そのような場合でも、可能な範囲で防湿を工夫し、マイクロスコープや歯肉圧排などを併用して接着環境を整えることが推奨されます。

10.治療前に確認したいこと

セラミック治療を受ける際は、ぜひ歯科医院に確認してみてください。

  • 「ラバーダムを使って接着していますか?」
  • 「IDSを行っていますか?」
  • 「エッチングやシラン処理はどのようにしていますか?」

これらの有無が、将来的な予後に直結します。

11.症例

1.ラバーダム装着

2.エッチング

3.前処理

4.セラミック装着

主訴 銀歯を白くしたい
治療期間 2〜3週間
治療費 ¥61,600(税込)
治療内容 銀歯を外し、セラミックの詰め物を入れました。
治療のリスク 個人差により、欠けたりする可能性があります。

 

12.まとめ

セラミック治療の成功を左右するのは、材料そのものではなく接着の環境づくりです。

  • ラバーダムによる防湿
  • IDSによる象牙質の事前封鎖
  • エッチングによる接着強度の向上

この3つを組み合わせることで、セラミックは美しく、長持ちする補綴治療となります。

治療を検討する際は、ぜひ「ラバーダム・IDS・エッチング」を行っているかを確認し、納得できる治療を選びましょう。

 

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✍執筆者情報

金子賢哉(かねこ けんや)歯科医師

藤が丘スマイル歯科 院長

日本歯周病学会 会員

日本保存学会 会員

日本歯科大学 卒業
※本記事は歯科医師の監修のもと、最新の臨床研究と技術に基づいて執筆しています。

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