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顎が痛い!その原因と対処法は?―顎関節症を正しく理解しよう―

今回のテーマは。

” 顎関節症”

についてお伝えします。

「最近、顎が痛い…」そんなときありませんか?

「口を開けるとカクカク音がする」「食事の時に顎が疲れる」「朝起きると顎がこわばる」——

こうした顎のトラブル、実は顎関節症(がくかんせつしょう)のサインかもしれません。

 

顎の痛みにはさまざまな原因があり、原因によって対処法や治療法も異なります。

 

顎が痛い→噛み合わせ調整

顎がカクカクなる→マウスピース

などと診査診断せず治療されていませんか?

 

今回は、歯科のエビデンスに基づいた「顎関節症の診断指針」に沿って、顎の痛みについて正しい知識と対処法をお伝えします。

 

◎顎関節症とは?どんな症状があるの?

顎関節症は、顎の関節や周囲の筋肉に異常が起き、痛みや運動障害を引き起こす病気です。

主な症状には

  • 顎の痛み(特に開閉時)
  • 開口障害(口が開かない、開けにくい)
  • 顎を動かすと音がする(クリック音やジャリジャリ音)

これらの症状は、放置すると悪化する可能性があるため、早めの対応が大切です。

 

◎顎が痛い原因は一つじゃない

「顎関節症」と一言で言っても、実は細かく分類されており、症状に応じて原因も治療法も異なります。

最新の診断フローチャート(Decision Tree)では、大きく以下の3つに分類されます。

① 咀嚼筋障害(筋肉が原因)

  • 原因:ストレスや歯ぎしり、食いしばりなど
  • 特徴:顎、こめかみ、耳の周囲の痛み
  • 治療:マウスピース、筋肉のリラクゼーション、生活指導など

② 顎関節痛障害(関節そのものが原因)

  • 原因:過度な開口や外傷
  • 特徴:顎関節に圧痛があり
  • 治療:マウスピース、関節の保護、開口訓練など

③ 顎関節円盤、形態障害(関節の構造変化が原因)

  • 原因:関節円板のズレ、変形性関節症など
  • 特徴:カクカク音、ロック(口が開かない)、顎の偏位
  • 治療:マウスピース、理学療法、専門的管理など

◎TCH(歯列接触癖)も原因に?

近年では、「TCH(歯列接触癖)」という無意識のクセも、顎の痛みの大きな原因とされています。

TCHとは、上下の歯が無意識に接触しているクセのことで、特に仕事中やスマホを見ているときに起こりやすいと言われています。

歯は通常、安静時にはわずかに離れているのが正常です。

TCHがあると、顎の筋肉が慢性的に緊張し、筋肉由来の顎関節症や咬筋痛、さらには歯の痛みにもつながります。

👉 詳しくはこちら

◎家庭でできるセルフケア

軽度な場合は以下のセルフケアで改善することもあります。

  • 顎を温めて筋肉の緊張をほぐす(痛みが強い場合は冷やす)
  • 柔らかい食事を心がける(硬い食べ物は避ける)
  • 大きく口を開けてストレッチ
  • 姿勢を良くする(スマホ首や猫背も原因に)
  • ストレスをためない(自律神経のバランスも重要)

◎受診の目安

以下のような場合は、自己判断せずに早めに受診しましょう。

  • 痛みが続いている(1週間以上)
  • 口が開かない・閉じにくい
  • 顎の音が大きくなってきた
  • 顔の左右差や顎の変形がある

◎当院の治療

当院では、「顎関節症初期治療診療ガイドライン2023」 に基づき、以下のような対応を行っています。

  • 顎関節・咀嚼筋の詳細な診察(押圧検査、可動域評価など)
  • マウスピース(スプリント)による関節保護
  • 開口訓練やセルフケア指導
  • 必要に応じてCT画像検査のご紹介

◎顎関節症の治療

顎関節症のエビデンスの高い治療はなんなのか?

一昔前までは、

「噛み合わせが悪いから歯を削りましょう」

「被せ物で高さを調整します」

といった治療が一般的でした。

しかし現在は、そのような“いきなり削る”治療は推奨されていません。

 

エビデンスが高く、推奨されている治療はコレ!

セルフケア(安静にする・硬い物を避ける)

  • 一時的な顎の痛みの多くは生活習慣の見直しで改善が期待できます。
  • 特に、歯を無意識に接触させる癖(TCH)に注意!

🔎 エビデンス:DC/TMD(国際診断基準)、日本口腔顔面痛学会ガイドラインにて推奨

2. スプリント療法(マウスピース)

  • 顎関節や筋肉の緊張をやわらげ、痛みを和らげる効果があります。
  • 主に夜間装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる負担を軽減。

🔎 メタ解析(Wieckiewiczら, 2015)で有効性が証明されています。

3. 理学療法・運動療法

  • 顎の周りの筋肉をほぐしたり、ストレッチを行うリハビリ的なアプローチ。
  • 開口障害がある方や、筋肉の緊張が強い方に効果的です。

🔎 RCT(無作為化比較試験)でも一定の改善効果が確認されています。

 

🚫「咬み合わせの調整」や「歯を削る」は最初の治療ではありません

実は、咬合(噛み合わせ)だけが顎関節症の原因であるケースはごく一部。

現代のガイドラインでは、

「咬合調整は慎重に判断し、基本的には初期治療では行わない」と明記されています。

 

◎まとめ

顎の痛みは「そのうち治るだろう」と我慢してしまいがちですが、早期発見・早期対処が重要です。

原因はさまざまで、それに応じた適切な診断と治療が求められます。

当院ではエビデンスに基づいた診断と治療を心がけています。

「最近ちょっと顎が気になる…」そんな時は、どうぞお気軽にご相談ください。

いつも最後まで見ていただきありがとうございます!

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