【歯を残す最新治療】クラウンレングスニング(歯冠長延長術)とは?|深い虫歯・破折歯も抜かずに治す方法を解説
「虫歯が深くて差し歯が入らない」「歯が歯茎の下で折れてしまった」「虫歯が大きく泣かないといけないと言われた」
そんなお悩みを抱える方へ。
歯を抜かずに残す選択肢として注目されるのが「クラウンレングスニング(歯冠長延長術)」です。
この記事では、エビデンスに基づいた情報をもとに、治療の目的や流れ、注意点を歯科医師が解説します。
【目次】
1.クラウンレングスニングとは?|どんな治療?歯を残す仕組みを解説
2.なぜクラウンレングスニングが必要なのか?|抜歯回避の理由
3.治療の流れと期間|手術内容をやさしく解説
4.メリットとデメリット
5.成功率とエビデンス
6.歯を残すもう一つの選択肢「エクストルージョン」とは?
7.治療のご費用
8.よくある質問(Q&A)
9.まとめ
🧑⚕️それでは、クラウンレングスニングについて詳しく見ていきましょう。まずは「クラウンレングスニングとは?」から解説していきます。
1.クラウンレングスニングとは?|どんな治療?歯を残す仕組みを解説
クラウンレングスニングとは、歯茎や歯槽骨を外科的に調整して、被せ物(クラウン)を装着するために必要な歯の長さを確保する治療法です。
歯が歯茎より深くまで虫歯になったり、歯の破折が歯肉縁下に及んだ場合に適応されます。
歯周外科手術により、歯の見えている部分(臨床歯冠)を延ばすことで、安定した補綴物の装着が可能になります。
2.なぜクラウンレングスニングが必要なのか?|抜歯回避の理由
クラウンレングスニングの目的は「歯を抜かずに残すこと」です。虫歯や破折が歯肉の深い位置に達してしまった歯は、従来なら抜歯されることも少なくありませんでした。
例えば、「虫歯が歯茎の中まで深く進んでいる」「歯が根元近くで折れてしまった」といったケースでは、被せ物を作るのに必要な歯の“土台”が足りません。
歯の被せ物は、ある程度の健全な歯の部分が歯茎の上に出ていないと、しっかり固定できずに脱落したり、すき間から再び虫歯になったりしてしまうのです。
クラウンレングスニングでは、歯ぐきや骨の形を整えて、歯の見えている部分を増やすことで、被せ物が長持ちしやすくなります。
つまりこの治療は、「せっかく治してもすぐダメになる」を防ぎ、歯を抜かずに済む可能性を高めてくれる、大切な処置なのです。
3.治療の流れと期間|手術内容をやさしく解説
治療は以下のように進みます。
①診断・検査
→レントゲンやプロービングで骨の位置と歯周ポケットを確認
②手術(約45〜90分)
→局所麻酔下で歯肉切除または骨整形を実施
③縫合
→歯肉切除した部分を糸を縫います
④術後管理
→2週間で抜糸、治癒の経過を確認
⑤補綴処置
→術後6週間〜3ヶ月後に型取り・被せ物装着
術後の歯肉のリバウンドも見据えて、補綴時期は慎重に判断されます【PMID:36695965】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36695965/
4.メリットとデメリット
メリット
- 歯を抜かずに保存できる可能性が高まる
- クラウン(被せ物)の適合が良くなり、再治療リスクが低下
- 将来的に歯を失わないように予防ができる
デメリット
- 外科処置が必要(腫れ・痛みあり)
- 根面露出による知覚過敏や審美的な問題
- 骨の削除により将来のインプラント設計に影響
5.成功率とエビデンス
- 5年後の歯の保存率:87%
- 10年後:70%(268歯を対象とした観察研究)
【PMID: 38874285】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38874285/
- 術後12ヶ月後:頬側で平均1.2mm、近遠心部で約0.5mm歯冠延長が維持
【PMID: 11495130】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11495130/
6.歯を残すもう一つの選択肢「エクストルージョン」とは?
クラウンレングスニングの他にも、深い虫歯や破折歯を保存するための治療法として「エクストルージョン(矯正的挺出)」という歯を挺出する方法があります。
矯正力で歯を引き上げ、健全な歯質を露出させる方法で、骨を削らずに済むという利点があります。
▶︎ 詳しくはこちらの記事をご覧ください:
歯を残すための矯正治療「エクストルージョン」とは?メリット・注意点を解説
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7.治療のご費用
¥33000(税込)
*被せ物や土台の費用は別途かかります。
8.よくある質問(Q&A)
Q. 治療回数は何回かかりますか?
A. クラウンレングスニングは検査・手術・抜糸など検査も含めて3-4回ほどになります。
Q. 被せ物は自費のみになりますか?
A. 保険内でも可能です。しかし、保険内の被せ物ですと土台や被せ物の精度が悪く予後が不良なことが多いのが心配な点です。
Q. 手術は痛いですか?
A. 局所麻酔で無痛ですが、術後1~2日は軽い腫れや違和感があります。
Q. すぐに被せ物は入れられますか?
A. 歯肉が安定するまで6週間〜3ヶ月待つのが安全です。
Q. インプラントを将来考えていても大丈夫?
A. 骨を削る処置なので、将来のインプラント治療に影響が出ることもあります。
Q. 歯茎はどれくらい下がりますか?
A. 1〜2mm程度の後退が多く、前歯では見た目にも影響するため注意が必要です。
Q. 知覚過敏は治りますか?
A. 多くは一過性で改善しますが、継続する場合は追加ケアが必要です。
Q. 子育て中でも治療は受けられますか?
A. 術後も通常の育児に支障はありません。
9.まとめ
クラウンレングスニングは、歯を抜かずに残すための現代的な治療法です。エビデンスに裏付けられた確かな効果があり、患者一人ひとりのニーズに応じた選択が求められます。
ただし、術後の変化やリスクも含めて、計画的に行うことが成功の鍵。まずは信頼できる歯科医院で正確な診断を受け、しっかり相談してみましょう。
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✍執筆者情報
金子賢哉(かねこ けんや)歯科医師
藤が丘スマイル歯科 院長
日本歯周病学会 会員
日本保存学会 会員
日本歯科大学 卒業
※本記事は歯科医師の監修のもと、最新の臨床研究と技術に基づいて執筆しています。
日付: 2025年6月22日 カテゴリ:お知らせ