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歯の神経を取ると診断された方

歯の神経について

健康な骨の状態と歯周病の状態の比較

歯の神経とは、痛みなどを感じる神経組織と血管で構成されており、以下のような役割を持っています。

  • 歯に加わる刺激を感知する
  • むし歯から歯を守る
  • 歯に栄養を届ける

その神経が、噛む感覚や痛み、食べものの温度など、さまざまな刺激を脳の中枢に伝えます。私たちが毎日おいしく食事ができるのも、神経があるからなのです。

痛みを感じることで、むし歯などお口のトラブルの発生に気が付きけますし、痛みなどから、異常を感知した歯髄は、免疫細胞を活性化させることで、歯を守ります。また、血管を通して栄養素や水分、酸素を歯に供給するのも神経の役割です。外部の象牙質に潤いを与え、噛む力にも耐えられるしなやかで強い歯を作ります。

歯の神経を取ると診断される理由

むし歯は歯の内部に向かって進行します。

神経にまで広がると、神経が炎症を起こし、激しい痛みを伴います。何もしていなくてもズキズキと痛み、歯ぐきや頬が腫れることもあります。そのまま放置していると、感染は根の先にまで広がり、最終的に歯を失うことにつながります。

むし歯の進行を止めて、痛みを取り除くためには、むし歯に感染した神経を取り除く必要があります。大切なことは、感染している部分だけにとどめて、必要以上に取り除かないことなのです。

歯の神経をとるリスク

神経を抜いた歯は『死んだ歯』と表現されることもあります。

神経がないことが原因で、さまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。

  • 歯が割れやすくなる
  • 歯が変色する恐れがある
  • むし歯の再発に気が付きにくい

歯に栄養が行きわたらなくなることで、歯はどんどん脆くなります。ちょっとした衝撃で割れたり欠けたりする恐れも。また、新陳代謝がストップしてしまうので、行き場を失ったたんぱく質などの古い組織が、変色して黒ずみになります。

さらに、詰め物や被せ物の下で、むし歯が再発しても痛みや異常を感知できずに、発見が遅れて重症化するリスクがあるのです。

歯の神経を
残す治療について

歯周病治療

医療の進歩により、重度のむし歯でも歯を残すことができるようになりました。
それは、『神経(歯髄)温存療法』という治療です。

歯髄温存療法は、歯の神経をすべて取り除くのではなく、感染した部分だけにとどめて、生きている神経を残す治療です。

歯の根の治療である『根管治療』と混同されることがよくありますが、根管治療では、基本的に、神経をすべて取り除きます。生きている部分を取らずに残すかどうかが「根管治療」と「歯髄保存療法」の違いです。

歯髄温存療法がおすすめな方

  • ご自身の歯を残したい方
  • 神経を温存したい方
  • できるだけ歯を削りたくない方

歯の神経を残す治療の
メリット・デメリットについて

メリット

  1. 歯の神経を残せる
  2. 歯の寿命を伸ばすことができる
  3. 神経を取る治療と比較し、
    歯を削る量を減らせる

デメリット

  1. 神経を保存できないこともある
  2. 治療後に一時的に
    痛みや違和感を生じることがある
  3. 費用がかかってしまう

歯の神経を残す治療のリスク

歯を守るための歯髄温存療法ですが、進行状態によっては行えない場合があります。むし歯が歯の根元まで進んでいると、歯髄を残せる確率は低下します。

そうならないためにも、できるだけ早く発見することが大切です。

また、歯髄温存療法は保険が適用されません。そのため、治療にかかる費用の負担が大きくなります。さらに、治療を成功させるためには、しっかりと時間をかけて丁寧に行う必要があり、必然的に治療時間が長くなります。

それでも、神経を残すことには大きな意味があり、お口全体の健康を考えると、長期的にみてコストパフォーマンスがよい治療といえるのではないでしょうか。

歯髄温存療法

重度歯周病の方で歯を残したい方へ

歯髄温存療法の進め方

  1. 診査診断 口腔内診査、レントゲン撮影等により、神経を残す治療が適応となるのかを診断します。
  2. 説明 神経を残せると診断した場合、歯髄温存療法について説明を行います。期間、回数、費用など事細かにお伝えします。
  3. むし歯の除去 最初に無菌的な環境を作るため『ラバーダム防湿』をおこないます。その後、むし歯を徹底的に取りきります。
    むし歯を取り除く時は、目視や感覚のみではなく、『むし歯検知液』を使用し、目には見えないむし歯菌もしっかりと確実に除去します。
  4. 神経の保護 むし歯を除去し、神経が露出した場合には、感染した神経は取り除き、正常な神経は『MTAセメント』という神経を守るお薬を注入し、神経を保護します。
  5. 仮封 神経を保護したら、すぐに詰め物や被せ物を作製せず、症状の確認をするため仮のお薬にて封鎖をします。
  6. 最終治療 一定の期間が経過した後、症状の確認を行います。とくに症状がなく、経過が良好と判断できたら、詰め物や被せ物を入れる治療に進みます。
  7. メンテナンス 治療後も定期検診に通っていただき、「詰め物や被せ物の異常がないか」や「お口の中が清潔に保たれているか」など、メンテナンスでしっかりとチェックをします。

歯の神経を残す治療の費用
(歯髄温存療法)

費用 治療歯1本につき30,000円+税

※詰め物などは、別途必要になります。

当院が大切にしていること

重度歯周病の方で歯を残したい方へ

当院では可能な限り、歯を保存できる条件であれば患者さんに十分説明を行い、歯の寿命が他の歯に比べて短い可能性があることなどをご理解とご納得をいただいてから治療を進めるようインフォームドコンセント(説明と同意)を大切にしております。

治療は患者さんのご希望のみを尊重しすぎてもいけませんし、歯科医師側の意見の押し売りでもいけないと思います。現在の状況、これから起こり得るであろう予後、それらに対しエビデンスのある治療方針をいくつかご提示し、患者さんと歯科医師とで意見を擦り合わせ納得いく形で治療をすすめていくことがお互いにとってより良い関係を築けるかと思っております。

疑問点や気になることなどなんでもご相談ください。
ご相談、ご興味ありましたら、ぜひお問い合わせお待ちしております。

歯を残す治療の症例

治療前

治療前

治療中

治療後

治療中

治療前

治療後

治療後
主訴 歯に穴が空いた
治療期間 1ヶ月
治療費 ¥33,000
治療内容 むし歯が大きく、神経を残す治療(歯髄温存療法)を行い、神経を残しダイレクトボンディングにて修復しました。
治療のリスク 治療後に痛みが出ることがあります。また、痛みが強くでる場合は神経を取る治療に移行することもあります。